東学党の思想のうち、「有無相資」は、現在でも広まればいいなと思います。それは可能だと思いますか?

例えば、一昨年話題になったピケティの議論では、資本主義に内在する社会的格差を是正してゆくためには、国際的な富裕税の導入、すなわち世界規模での富の再分配を制度化してゆくしかないといわれています。これは、表面上は「有無相資」に近いですが、「人間の善意に任せていては格差は是正できない」という諦観の表明でもあります。新自由主義が人間の欲望を解放する装置であり、それに基づく施策が世界を席巻する現代にあって、相互扶助は最も必要とされつつ、しかし実現の難しい思想になってしまっているのかもしれません。階層によっては、他者を扶助する精神的・経済的体力を、すでに奪われてしまっているところもあります。固定化しつつある階層をより柔軟に組み換え、かつその格差を可能な限り縮減する思想とシステムが、早急に求められますね。政府が逆の方向へ進むのであれば、国際的な市民の連携によって、その仕組みを模索してゆくしかありません。