今日の講義で、マジョリティのマイノリティに対する弱者排斥の意見が再び高まってきている、という話が出ました。それは具体的に、どのような身体的、文化的特徴を持った人々の意見なのでしょうか。

昨年の、相模原障がい者施設殺害事件を挙げれば、充分ではないでしょうか。「障がい者は役に立たないから、殺害するのが社会や家族のためだ」という犯人の主張に、ネットで賛同を表明する人も多く出ました。現在豊洲問題で逃げ回っている石原慎太郎など、「犯人の気持ちが分かる」とまで公言したのです。もちろん、ネットの意見がすべて実体を伴うものだとはいいませんが、そうした発言をしても許容されてしまう空気が、社会のなかに生じているのは確実です。人間の価値を労働の量で決定するような経済優位の優生思想的価値観は、いつの間にか多くの人の心に何らかの形で胚胎しつつあるのです。