人類は発展してゆく過程で、一箇所に権力を集中させ統治機構を作ってきましたが、それが失敗であったなら、無政府状態が人類文明の発展の形となるのでしょうか。

いわゆるアナーキズムの考えからすれば、そうでしょうね。クラストルもアナーキズム思想を持っていましたし、それを受け継ぐ人類学の流れは、例えば最近大著『負債論』が訳出された、デヴィッド・グレーバーらによって活発に研究されています。歴史学者も、国民国家などというシステムが過渡的なものに過ぎないことはよく知っているので、よりよい形態が生み出されればそのほうがよい、国家や政府などいつ放棄しても構わないと考えているひとは多いと思います。ゆえに、ナショナリズムなど持ちえないのです。