神話が、「現代と直結するもの」という意味が、よく分からなかった。

歴史が、過去から現在に至る変化のプロセスをもって現状の説明をするものであるのに対し、神話は、過去の一点の事象から現状を説明する物語り形式です。例えば、近代における帝国日本の統治者が天皇であることについて、「皇祖神アマテラスが皇孫たるニニギへ、豊葦原中国を統治せよと命令し高天の原から降臨させたから」と説明するのが神話、「古代・中世・近世と不安定な状態が続き、近世においてはその宗教的権威をも奪われそうになっていた天皇を、明治維新が幕府を超越しうる統一的権力として再設定し、古代的価値観を再構成した」と説明するのが歴史。近代日本は、まさに後者の説明方式を国家の公式説明とし、国体に据えたのです。