多遺体再葬について、当時の人々は埋めた骨を掘り起こすことについて、どのように考えていたのでしょうか。

これは沖縄などにも残っていた習俗ですが、「再葬」と呼ばれる埋葬の仕方は広くみられたものなのです。原理的には、一度遺体を埋葬し、身体が分解され骨だけになった頃に掘り出し、洗骨して埋め直すという方法です。多遺体再葬は、このような「浄化」を目的とした再葬とは異なりますが、上のように人骨を一種の呪具・祭具と考えると、何らかの儀礼を行えば掘り出すことも可能であったと考えられます。現在も墓を移動する際、神像や仏像にするのと同じような「魂入れ」「魂抜き」などを行いますが、縄文時代にもそのような儀礼があったのかも知れません。