ヨーロッパ以外でも自国、自文化中心主義があったが、それを持つようになった契機はなんだったのだろうか。また、そうした視点からの脱却がどのように起こっていったのかも疑問に思った。

自国、自文化、自民族至上主義、中心主義は、根強く世界に作用しています。いま現在においても、多くの国々、民族が、その軛から逃れられてはいません。日本もそのひとつです。その原因の一端は、個人や集団が自らを防衛するために行う自己同一化、何らかの概念なり理念なりに自らをアイデンティファイし、あるグループに帰属することによって安心立命を得ようとすること、それゆえにその概念なり理念なりを背負ってしまい、批判や非難に対しては攻撃的に振る舞わざるをえなくなる、そのあたりの心的傾向にありそうです。アイデンティティーを持つなとはいいませんが、何かに帰属し背負ってしまうと、いつの間にか自分を見失い、何かにいいように踊らされてしまいます。自分独りでも、しっかりと自身の足で立ち、自身の目でみ、自身の耳で聞き、自身の頭で、自身の心で考えてゆくことが必要でしょう。