夷狄の服属儀礼について興味を持ちました。生殖器信仰と、金剛杵・国土観の問題は、やはり関連があるのでしょうか。

コアな質問ですねえ。昨年の特講でも扱った世界樹、柱、リンガ、須弥山は、すべて世界の中心を示す象徴として、同じものであると考えられます。これも普遍的にみられる神話素ですが、世界に秩序をもたらし所有権を標榜する杖、杭、杵なども同じです。列島をヴァジュラに見立てる密教的国土観は、その発展型でしょう。同じく列島を龍に見立てる国土観のあることを考えると、やはり神話的連想には明確な論理が働いていることが分かりますね。なおヴァジュラは本来は雷の呪具化ですが、龍も雷神として形象されることの多い生き物です。