ナシ族がどのような暮らしをしているのか分からないのですが、表意文字の使用で不便なことはないのでしょうか。部族の人々への普及率や他民族との交流の過程で、変容していかなかったのか気になりました。

授業できちんと話をしていなかったかもしれませんが、トンパ文字はいうなればヒエログリフと同じ神聖文字で、トンパだけしか使用することができません。一般に使われたものではないのです(しかし現在は観光資源化によって、トンパ文化の担い手を育成する学校なども作られています)。雲南省麗江も中心部は都市化が進み、ナシ族の人々もぼくらと何ら変わらない生活をしています。主な生業は牧畜と農耕ですが、サービス産業に務める人も増えています。中国の少数民族の人々は、たいていが自分たちの民族の言葉と現代中国語のバイリンガルで、繁体字も普通に書くことができます。