文字記録と口頭伝承が両方あって、どちらが正しいか分からない場合、重要視されるのは文字ですか、伝承ですか。

それもやはり、情況によりますね。一概にどちらを重視するのがセオリー、とはいえないと思います。一時代前の歴史学では間違いなく文字記録を重視したでしょうし、現在でもそうする歴史学者は多いと思いますが、やはり充分に比較検討をして情況を調査せねばなりません。例えば、文字記録は書き手のみの主観で書かれており、伝承は地域の集合的心性を表現している場合などは、地域の一般的な考え方としては後者を採ったほうがよいということになります。