古代中国では、他の地域のような占星術は発展しなかったのでしょうか?

発達していました。そもそも中国の史官は、卜占とともに暦の作成を主要な役割としており、それは天文の観測なしには成就できない職務だったのです。『春秋』『国語』などの古い史書には、熱卜や夢告などの内容を解釈するために、天文の運行と神話が重なりあった歴史的知識が、多く動員されているのをみることができます。そもそも天文とは、地上のさまざまな事象に影響をもたらす天の文様=動きで、地文は地上の文様=動き、そのなかで活動する人間の文様=動きこそ人文です。すなわち人文科学とは、天文と地文の学問を前提に成り立つ、世界をみるための鑑なのです。