殷代当時の占いが王朝に影響を及ぼしていたことから、占いによる王朝支配があってもおかしくないと感じた。また、卜官が王という立場になる可能性はなかったのか?

祭政一致の神聖な王は、宗教的な能力とともに強大な軍事力も有しているために王なのであり、卜兆を読み解く力もそのことと無関係ではありません。殷における史官=卜官は知識人ではありましたが、やはり王のもとで宗教的業務をなす専門職であって、政治的・軍事的な力とは無縁でした。しかし、卜占の理論が複雑化した漢代には、敵対する政治勢力を貶め滅ぼすために亀卜が利用され、国家に多大なる混乱を招きます。神聖王が存在するかどうかというシステム上の相違は、実はスピリチュアルな知識・技術の暴走を抑制、コントロールできるかどうかという問題とも関わってきます。