ポリビュオスの政体循環論において、ローマの混合政体が理想的だったというのは、どの点においてでしょうか。

各政体の理想的型である君主制、貴族制、民主制が調和をもって共存している状態こそが、ローマの混合政体であるとの考え方です。それまでのギリシアの政体は、3つのうちそれぞれが単独で形をなしていたために、理想型からの退行によって別の政体へと移行し、循環のなかから抜け出せないでいた。ローマは3政体の混合・調和によって、循環の軛から抜け出すことができたというわけです。円環的時間の制約という意味では、仏教で悟りを開くことが永久に続く輪廻の苦しみから解脱することになるという、その考え方とまったく同じです。