北大の事件で、「アイヌを排除した」という講義は具体的にどういうことなのか。区別ではなく排除、というのが気になりました。

「排除」は、「北海道経済史は日本人を主体にした開拓史であり、アイヌの歴史は切り捨てる」という林教授の宣言を意味します。つまりその学問のあり方自体が、アイヌの存在を排除することによって成り立っている。林は、「開発は和人が主体であり、アイヌは開発をしていない」と述べていますが、そこには例えば、開発=啓蒙=文化/停滞=蒙昧=自然との、古い近代的二項対立が内在しているのです。それは、一種マルクス主義経済学全盛期の開発肯定史観とも関係し、一種植民学という帝国主義的学問に由来するわけです。