マイノリティーが人数の多寡ではないことは分かるのですが、実際の事例となると思い浮かびません。 / 例えばアメリカの、数では多数派のアフリカ系アメリカ人などは、マイノリティーになるのでしょうか。

この2つの質問は、質問/回答の関係になっていると思います。マイノリティーとは非常に相対的な概念なので、抑圧がどのような局面・情況において起こっているのかが重要です。例えばぼくが調査に訪れたことのある中国雲南省麗江では、納西族ら少数民族が多く生活しており、地域によっては漢族よりも人数が多いはずですが、だからといってあらゆる局面でナジョリティーになりうるわけではありません。女性は総人口に占める割合からすれば男性に対し少数とはいえませんが、やはり未だに男性優位がはびこるこの世界においては、抑圧されマイノリティーに押し込められることが多いと思います。ご存知のように、日本ではジェンダーギャップ指数の順位が143国中111位で、いわゆる先進国のなかではボトムラインであり、男女共同参画社会がまったく実現されていないことが明らかです。にもかかわらず、「現代の日本は女尊男卑だね」といった言説がまことしやかに囁かれたり、バックラッシュが起き女性の地位向上を求める動きが抑圧されたりする。恐ろしいことです。