シャクシャインの戦いの際、松前藩による植民地化が進行しつつあったとのことですが、狩猟を行うアイヌにとって、土地の所有とはどのようなものだったのでしょうか。

北海道旧土人保護法のところでもお話ししましたが、アイヌは土地所有の観念を持っていません。より厳密にいえば、狩猟や漁労の場として活用するそれは共同体所有であり、個人の所有ではないのです。松前藩やその許可を得た承認、金掘人夫、鷹待らが押し寄せることで、彼らの生活の場、交易品を確保するための場が荒らされ、生業を成り立たせるのが困難になってきた。そうした意味での「所有権」、というより「利用の常識」への侵害があり、紛争へと繋がったのだと考えられます。