ランケの学派とマルクスの学派には交流はあったのでしょうか。

ランケとマルクスの考え方は、質的進歩という意味では類似していますが、個人を扱うか集合的な構造を扱うか、人間をどうみるかという点で大きな相違があります。ランケはヘーゲルマルクスの間に位置しますが、人間の見方としてはヘーゲルよりで、歴史を自由意思の結果として捉えてゆきます。それゆえに、出来事の起源としての個人の主体性へ収斂してゆくことになるのです。それに対してマルクスは、自由な意志をイデオロギーによる虚偽意識とみており、個人の意志の発露よりそれを規定する社会・経済構造をこそ重視しているのです。マルクスの著作のなかにはランケの著作の言及もみられますが、その交流はあまり本質的なものではなかったようです。