社会保障の制度などのほかに、現在用いられている社会主義的発想はありますか?

これはもう根本的な話なのですが、現在の資本主義国家はほぼ、「混合経済」という仕組みで経済を動かしているのです。純粋に市場原理に基づいて経済を運営しようとすれば、社会的格差は拡大する一方になり、国家は国民に対し最低生活を保障することができなくなる危険があります。そのため、国家は景気を調整したり、累進課税制度などを通じて所得を再配分するなど、一部計画経済的に市場原理に介入するわけです。これらはいうまでもなく、本来社会主義的なものの考え方です。しかし近年の新自由主義思想では、このような国家的規制を緩和して市場経済に依拠する部分を大きくしてゆくため、国家の支出を軽くし国家財政を縮減しうる一方で、社会的格差の増大に抑制が効かなくなってきているのです。