モースは、贈与―受領―返済のシステムの原理を、どこにみていたのでしょう。現在の崩壊したシステムから遡及的に考案された、非原理的なものに思えてしまうのですが。

北米大陸の太平洋岸先住民諸族に行われていた習慣を、基礎的なデータとしたものです。また、現在でもこのような風習を維持している人々はいますし、講義でも触れたように、日本でも類似の習慣は行われています。現代資本主義が、上でも触れたように市場経済所得再分配によって調整しようとしているのは、一般市民からの収奪=贈与が返済されるシステムをなぞっており、贈与交換の変奏ともいえるものです。