なぜ緑豊かな農村が形成されたのが昭和30年頃なのでしょう。何か背景があるのでしょうか。

高度経済成長に伴う第一次産業の衰退、都市への人口の集中と農村の過疎化などによって、これまで人間が恒常的に圧力を加えることで維持されてきた低植生の傾向に歯止めがかかります。肥料の刈敷を得るための柴草山、茅葺きなどの材料を得るための茅場などが放棄され、次第に植生が回復して森林化が進行しました。第二次世界大戦の折に多くの樹木を供出したことで荒れた森林も復活し、また林野庁の植林政策によって、各地に杉・檜の人工林が形成されてゆく。そのようにして、あくまで結果論的に、緑豊かな農村が形成されてくるのです。