中世〈遊女〉においては、芸能とセットで論じられることが多い印象を受けるが、近世遊女というのは、芸能面を論じられることはあまりないのだろうか。遊女と芸者はどこかで分岐したのか?

吉原にも芸者はいましたが、彼女たちは身体を売買することはなく、歌舞音曲において遊女の接待をサポートするのが役割でした。遊廓という経営体において、そこで働く女性たちにも、社会的分業が進んでいると考えていいでしょう。遊女と芸者は長い間混同され、芸者にスポットが当てられることはあまりなかったのですが、近年立教大学の安原真琴さんらがその存在に注目し、「最後の吉原芸者」といわれたみな子姐さんに取材、その芸や、遊廓での遊びを記録した映画を制作しています。