アナール派で紹介してくださった研究者は、前近代を対象にした人が多かったように思います。近代以降が専門の人はいないのでしょうか?

『フランスという坩堝:19世紀から20世紀の移民史』を著した、ジェラール・ノワリエルなどが著名ですね。博愛平等の国フランスで、帝国主義植民地主義がどのように展開し、移民という現象が推移したか。人々は移民を、どのような目線で捉えてきたのか。難民に対する差別的視線をはじめ、フランスでもボトムラインにおけるさまざまな軋轢が表面化し、近年のテロへと繋がってきています。その淵源を読み解くうえでも重要な書物です。また、ノワリエルはいわゆる歴史学の危機においても、研究者の政治性という面から強く警鐘を鳴らしています。