社会史のまとめのところで、理論の忌避が共通のプラットフォームを失わせた、とある部分がよく分かりませんでした。

分野を超えた学問が協働するときには、お互いにそれぞれの依拠する方法や理論が、ある程度理解されていなければなりません。そうしなければ、研究成果がどのように生み出されたのか検証することができないからです。もちろん、専門性の強い研究ほど多分野による検証は困難ですが、しかしまったく何も分からない状態では、お互いの成果に信頼を置けず、そもそも協働しようというモチベーションも生じない。自らの方法に自覚的であり、他の理論にも関心が高ければ、分野を超えたさまざまな話題にある程度対応することができます。逆に、理論を意識せず関心も薄ければ、お互いの成果だけを相手にせざるをえず、共同研究は一向に深まらないことになるでしょう。