ハンセン病者が迫害され、遠回しに死に追いやられていたことは分かったが、ナチスのような障がい者の迫害は、日本ではなかったのだろうか。

ドイツのT4作戦のような組織的虐殺は行われませんでしたが、やはり、徴兵や生産労働に「役に立たない」とレッテルを貼られた障がい者が、社会的抑圧を受けたことは確かです。いわゆる社会的弱者は、社会自体の疲弊によって、最も困難な情況に曝されます。例えば、彼らが空襲時にどのような経験をしたかは、想像に難くありません。なお、1940年に制定された国民優生法では、遺伝的疾患を持つ人々を対象に、1945年までの間に435件の断種が行われました。 戦後、1948年に制定された優生保護法では、この傾向が抑止されるどころか、対象はハンセン病や非遺伝性の精神病などにも拡大され、ごく最近の1994年までに、1万6千件に至る強制断種が実行されていました。これは、豊かな発展性のある生命の生じる可能性自体を摘み取ってしまう行為で、虐殺にも等しい施策であったと思います。