八紘一宇のスローガンが、ハンセン病と結びつく意識が、その程度国民の共通認識となっていたかを知りたい。

八紘一宇の言辞は、それを創作した田中智学が説くように、日本〈民族〉と日本文化の優生性を強調するものです。その優生性の表明を疎外するような要因は、〈誤り〉〈例外〉として削除、隠蔽しようとするベクトルが生じることは、想像に難くありません。そもそも、近世までの社会において、ハンセン病者を出すことは家筋の恥であったわけで、そうした思考の連続性において、ハンセン病者を帝国日本の恥辱と考えることは、一般的にありえただろうと考えられます。