歴史学の課題として、ものごとはなるべく客観的にみなければならないということは必要と思いますが、先生の思う一番の方法とは何でしょうか。

もちろんそのとおりですね。自分の政治性、恣意性を厳しくみつめ、相対化し、可能な限り客観性を目指すことは必要です。しかし、それにはやはり限界がある。大切なことは、そうした思考過程を科学の名で隠蔽せず、しっかりと公開することです。手練手管を明確にみせることによって、初めて学問の内容が検証可能になり、それが自分では気がつけなかったさらなる客観性の確保に繋がるのです。