現代歴史学の理想論と、上智の史学科で教わる歴史学はずいぶん離れていると感じます。実証主義の方法しか教わっていないので、理論的・方法論的多様性はないと思います。 / 実証主義世代の教授陣から教わっても、我々もまた同じことを下の世代に伝えてしまうことになるのではないか。

耳が痛いですね。しかし、それを「主義」にするかどうかは別として、実証が学問の基本であることは確かです。大学の学士課程では、まずはその実証をきちんとできるようにする、その訓練が大切なのです。またこの授業のように、たくさんの情報は発信されているはずです。学生が指導教員と同じ立場に立たなければいけない、ということはありません。かくいうこのぼくも、ご指導いただいた多くの先生から破門され、独りで学問の周縁を彷徨い、そこで今も議論しあえる仲間と出会い、たくさんの先達にお世話になり、現在に至ります。大学の制度が柔軟であるに越したことはないですが、結局は学生の皆さん自身がどうするかでしょう。