東アジアからは離れてしまうのですが、水辺にいる女の妖怪について、西洋のウンディーネやセイレーンとの共通性などはあるのでしょうか。

女性と水との関わりは、根本的には、文化=男性/自然=女性の二項対立図式によるもの、と整理されることが多いです。西洋の水の妖女も東洋の水の妖女も、概ね文化=男性を侵害するものである点も共通します(しかしなかには人魚姫のように、男性=文化の枠組みに回収されてしまうものもあります)。もちろんそれは間違いではないのですが、その整理に、時代や地域によってどような差異があるか、特徴や豊かさがあるかが重要です。東アジアにおける水の女の系譜は本当に豊かで、極めて複雑なものです。子育て幽霊譚の展開と胎児分離習俗、曹洞宗による胎児分離切紙などの展開は本当に面白いので、どこかで紹介したいと思います。