鳥を用いた占いは、講義で扱っていないヨーロッパなどの地域にも存在するのだろうか。存在するとすれば、その地域差はどのような要因によって生じるのだろうか。

古代ローマでは、鶏を用いた鳥占いが、要所要所で行われたようです。政治家としても文筆家としても名高いキケロの「占いについて」には、「ローマ人は、どれほど多くの種類の卜占の方法を受け入れて来ただろうか。まず最初に、この国の父祖ロムルスは、鳥占いによってこの都を建てただけではなく、彼自身が優れた卜者だったと伝えられている。続いて、後の王たちも卜者を用いたし、王制が廃止された後も、平時においても戦時においても、どのような公的な決定もも鳥占いなしに行われたことがなかった」と書かれています。彼も言及している第一次ポエニ戦争期の共和政ローマの政治家、プブリウス・クラウディウス・プルケルは、戦闘の前に行った鳥占いの結果(神聖な鶏の餌のついばみ方が悪かったこと)を無視し、この鳥を海に投げ込んで殺してしまい、結果としてカルタゴに敗れ大船団を失ったとされています。キケロはこの占いの方法には懐疑的ですが、やはり「多神教の風土が強い地域において、種々の自然物に神聖性を認める卜占が発展する」、ということはいえそうです。