動物から人間が生まれることと比較して、植物からの場合は、生まれる人間が女性の場合が多い気がする。それは植物の生命力や再生力が、女性のそれと重ね合わせられているのだろうか。

授業で中国の竹王伝説を紹介したように、必ずしも女性が多いわけではありません。列島文化では、桃太郎の例もありますしね。一時期の日本では、柳田国男折口信夫の論を受けて、シャーマン=女性といったイメージが強くありました。しかし、アジアにおける前近代社会、民族社会の事例を探ってみますと、男性シャーマンも多く存在し、活躍しています。むしろ、主流は男性にあるといってもいいほどです。シャーマンの語源になったツングース族の呪師は男性ですし、ぼくが調査に行ったことのあるナシ族のトンパも男性でした。六朝の時代には、江南地域で東アジアにおける宗教的シンクレティズムの原型が作られますが、そのとき、死霊の憑依を受けて異界の様子を聞いたものや、神霊のお告げを受けて道教の一教派を開いていったものなどは、ほぼ男性でした。