サバイ草の起源などにみるように、民話や伝承には兄弟が登場する話が多いように思います。兄弟も何らかの象徴なのでしょうか?

民話や伝承で、兄弟や夫婦、両親を登場人物とすることが多いのは、ストーリーを物語るうえで邪魔になる説明が不要だからでしょう。主人公に対立する登場人物を設定する場合、もともと無関係なひとであれば、主人公との因縁など、彼に対する説明が必要になる。しかし兄に対する弟、夫に対する妻、子に対する親などであれば、続柄だけいえばほかに説明は要らず、せいぜい「不仲であった」とすれば済む。もともとはそのあたりの「語りやすさ」が理由で、やがて血縁関係の根本としての家族が注視され、「愚兄賢弟」「賢兄愚弟」などの枠組み、肉親だからこその愛憎などを創出、演出してゆくのでしょう。