須弥山像や類似した形の香炉台について、男性象徴であるとのお話がありましたが、これまでの授業に登場していたアジアの立柱にも同じような思想的背景があるのでしょうか? アマテラスが女神とされていることを考えると、神仏に制約を監視させるための依り代が男性象徴というのは、違和感を覚えます。
すべての神聖遺物を男性象徴/女性象徴で解釈するのは無理があるでしょうが、天地を繋ぐように屹立する柱や山には、男性象徴の重ね合わされることが多いことは確かです。縄文時代には、男性象徴を直接的に模した石棒が多くみつかっていますし、環状列石にみられる日時計遺構などは、女性象徴から男性象徴が屹立している様子、すわなち性交渉のメタファーであると推測されます。宇宙樹にまとわりつく龍蛇も、代表的男性象徴のひとつです。性交渉は生命を生み出す源であり、あらゆる宗教に(創唱宗教はそれを表面的には否定することは多いものの)関連の意匠を見出すことができます。恐らく、海から屹立する須弥山という構図自体も、女性象徴と男性象徴の組み合わせなのでしょう。