古気温曲線について、寒冷化になると戦乱が起きやすくなるのでしょうか。例えば壬申の乱の時期は寒冷化しているようですが、遠因として気温の低下があったのでしょうか。

これからお話ししてゆくことになるのであまり種明かしはできませんが、例えば古墳寒冷期は、寒冷なだけではなく湿潤で、雨も多く降ったことが分かっています。単純化しすぎるのは問題ですが、概ね、日照時間も少なく、水害も多かったと考えられます。すなわち、南方作物である稲の生育には不適な気候でした。全国的に農耕の収穫が不充分となれば、多くの人口を抱えていればいる分、社会・経済的には不安定となり、小規模な共同体間の紛争から、あるいは大規模な地域どうしの戦乱まで、生存をかけた闘争の起きる要因が増えることは確かです。ただし、人間の文化はすべて環境的要素によって決定されるわけではないので、あくまでその要因が増えるということ、現実にはそこへさまざまな社会的・政治的要素が絡まり合い、作用し合っていることに注意しなくてはいけません。