なぜ原子量の多少で気温の変化が分かるのですか。

自然界の炭素原子には、12C、13C、14Cの3つの同位体があります。全体に占める割合としては、安定同位体として壊変しない12Cが約99%と大半を占め、同じく安定同位体の13Cが約1%、放射性同位体の14Cが約1/1兆分の1の微量となっています。植物が光合成を行うとき、12Cは質量数が小さく軽いため、他の同位体に比べ植物体内に取り込まれやすい性質があります。この際、もし地球全体が温暖湿潤な気候にあって植物の生命活動が活発であれば、12Cの分布は生物圏に偏り大気中からは減少しているため、相対的に13Cと14Cの割合が増加します。逆に地球が寒冷乾燥な状態にあって植物の生命活動が低下すると、12Cは生物圏から大気中に放出されて増加し、13C・14Cの割合は相対的に減少します。よって、過去の植物体をサンプルとして安定同位体の含有量を調べたとき、12Cが相対的に多ければ温暖化の指標となり、13Cが相対的に多ければ寒冷化の指標となるのです。