なぜ蛇体の女性は美しい者と表現されるのか? 表現する側はどんな人たちなのか? 男なのか女なのか?

いわゆるルッキズムですね。蛇身の女性が美しく妖艶な存在として表現されるのは、それが信仰の対象であった頃の名残でしょう。弁才天が美しいのと同様の意味です。しかし、江戸中期以降の近世怪談になると、蛇の性質を持っていながら「醜女」と表現される例が多くなってきます。これは、蛇神の世俗化であり、化政文化などにおけるグロテスクなものを好む風潮との関係であり、一種のリアリズムの追求でもあるのでしょう。もちろん、主要な描き手は男性です。すなわち、描くことによって女性性を統御したいという願望の表現でもあるのでしょう。