動物の主などの信仰で、動物の本体である精霊は人間の姿をしていると聞きました。それはなぜなのでしょうか?

やはり、われわれが人間だからでしょう。近年、南米や北方狩猟民を対象とした文化人類学において、パースペクティヴィズムという考え方が提示されています。狩猟民たちは、人間をあらゆる生命の根源と考え、それゆえに、例えば豹の世界観を、「豹は自分を人間と考えており、シカの血は酒であり…」などと表現します。彼らにとっては、人間という形式が生命そのものであって、その枠組みで世界を捉えているのです。この考え方は、近年東アジアやインドにも存在したことが確認されています。キリスト教で人間を神の似姿と考えるのも、実は同じ発想なのかもしれません。