蛇は生命力の象徴と崇拝されていた割には、怖ろしい悪者の面があったりします。見た目や毒を持つ種がいるのが原因でしょうか。 / メドゥーサにはよいイメージはなく、信仰の対象であるか疑問です。

そうですね、怖ろしいからこそ信仰された、という面は大きいと思います。小さな存在でありながら、大きなものを倒してしまう。人間とまったく身体の構造が違う。いわゆる他者性の大きなことが、信仰を生む契機にはなっているのでしょう。ちなみにメドゥーサについては、もともとは大地母神であり、森林の女神であったことが、神話研究の側から指摘されています。ギリシャ文明は早期に森林を伐採してゆき、激減させてしまいますが、その過程で、人間に仇なす化け物であるとの認識に変容されていったのです。こうしたことは日本列島でも同じで、古代の蛇神たちは、ヤマト王権や仏教によって貶められ、退治されるべき存在として史書等に記述されてゆくことになります。