宗教が人間中心になることと、国家の形成との結びつきがよくわかりません。「神」と意思疎通ができるひとをリーダーとし、まとまったという解釈でいいでしょうか。

国家の形成は、突出した首長によって統括される社会を前提に誕生します。つまり、共同体が否定されて特定の人物、あるいは親族へ権力が集中していった結果なのです。共同体の信仰形態は多くアニミズムであり、自然環境そのものを(縄文が死と再生の循環を信仰し、弥生が鳥や鹿を信仰したように、時代や社会によって分節の仕方は違いますが)信仰します。しかし共同体を否定した王権・国家では、その王自身が信仰の対象となってゆくのです。