黄泉国神話では、ギリシャ神話でもオルフェウスやペルセポネの類似の話を確認できます。両者に類似点があるのはなぜでしょうか?

縄文か弥生のときにも同じような質問にお答えしましたが、とくにギリシャ神話と日本神話に限ったことではなく、世界中の神話にこのような類似点は多く確認することができます。そうした現象が起きる理由として考えられるのは、ひとつに形式の伝播(実際に人間が東西に大きく動くというより、中距離を動く人びとの間を、停留と移動を繰り返しつつ、長い時間をかけて、バトンのように情報が伝わってゆくのだと考えられます)、もうひとつに類似の環境下での類似の心性の醸成があって(例えば、気候・地形や植生がよく似た環境では、同じような動物が棲息し、それらに基づくよく似た衣食住の文化が醸成される。そのなかで、やはりよく似た心性や感性が培われるということです)、現実的には両者が組み合わさることで類似が引き起こされていると考えられます。