ローマでは、支配者が持つべき徳というものがありましたが、飛鳥時代にそうしたものはあったのでしょうか?

これ以降、天皇も中国の皇帝に倣い、儒教的な徳を身に付けてゆくことになります。持統天皇の孫、珂瑠皇子=文武天皇を教育するために編纂された、『善言』という書物の断片が、『日本書紀』のなかに含まれていることが確認されています。これは偉人や英雄の言動を集めたもので、中国でも『古今善言』など類似の書物があり、珂瑠皇子の帝王学の教科書であったと考えられています。中国皇帝と同じく、日本の天皇も、歴史や神話、儒教や仏教に学びながら、帝王としての徳を涵養していったものと推測されます。