合議制に参加した有力豪族たちをみると、大王がいなくても支配が可能であったように思うのだが、どうして彼らは、大王や大兄を必要としたのだろうか。

授業でもお話ししたとおり、大王が利害の調整を体現しており、豪族たちは、その機能・権限を分有し王権を運営しているに過ぎません。もちろん、例えば蘇我氏が大王位に就いていたとすれば、大和グループの王/臣下の関係も流動的で、飛鳥時代においても大王家という血統は確立されていないことになります。しかし誰かが盟主となって各政治グループの調整に当たらなければ、相互に衝突して戦乱となるか、あるいは牽制しあって統一的な動きがしにくくなり、ひとつの国家として中国や半島諸国と交渉することが難しくなる。東アジアの政治的緊張のなかで、中央集権化が必要となり、その中心として大王家が屹立してくるわけです。