古代の日本の権力者はきらびやかな装飾品を身に付けていますが、平安時代くらいからそうしたことがなくなるのはなぜでしょうか?
難しいですねえ。NHKドラマの『大化の改新』は、藤ノ木古墳などの発掘によって浮かび上がってきたきらびやかな装飾品、その他高松塚古墳の壁画、隋唐の中国資料を参考にしながら衣裳デザインをしていると考えられますが、日常的にあのような装飾品を身に付けていたかどうかは分かりません。ドラマも、三韓の朝貢という儀礼の場を舞台にしていたので、あの場に集まっている大夫たちは、みな第一級の礼装を身に纏っているわけです。平安時代においても、儀式の場では種々の装飾品を身に付けます。もちろん、例えば女性の場合、耳環や腕環など、ストレートの髪型やゆったりした袂の展開によって使われなくなったものはあります。雰囲気も大きく異なりますが、衣服の布については上等なものを用いていますし、調度品も唐物の高価なものを散りばめています。質素になったというわけではなく、意を注ぐポイントが変わってきたのだといえるでしょう。