神話と歴史はイコールなのでしょうか?

学術的な概念としては、2つは異なるものです。まず神話は、過去のある1点との関係において、現状の諸事象を説明するもの。例えば天照大神が皇孫ニニギに豊葦原中津国の支配を命じたことをもって、天皇統治の正当性・正統性を説明するようなものです。それに対して歴史(近代歴史学)は、事象を過去から現在までの変化のプロセスのなかに捉えます。過去の1点を絶対化・神聖化する歴史とは、相容れないものです。しかし、前近代においては、神話を神の言行、歴史を人の言行と捉え、両者を時間的に接続するものとみなしたり、歴史事象を神話によって説明することが広く行われていました。そうした考え方においては、神話=歴史の等式が成り立ちます。