歴史的記憶の封じ込めのなかで、「問題化できないメディアの弱さ」という記述がありましたが、具体的にどういったところが「弱さ」なのでしょうか?
よくいわれるのは、現在の日本のメディアは発表報道が主流で、調査報道がほとんどできないということです。国の公式発表、企業の記者会見などを真に受け、受動的に報道するのみ。インターネットのニュースなどは、とくにその傾向が顕著です。しかし、民主社会のメディアは、国家や行政、大企業などの権力体を監視し、批判して、主権者である市民社会に資するのがそもそもの役割です。調査報道とは、メディアが独自に問題に斬り込み、充分な調査によってその真相を明らかにし、一般社会へ伝えてゆくこと。いまぼくは築地市場の豊洲移転の問題に少しだけ関わっていますが、一部メディアを除いての調査力のなさ、いやむしろ調査をしようとさえしない強い力への従属的なあり方を間近にみて、強い憤りを覚えています。東日本大震災後にかなり問題化して、数年前から各種シンポジウムも開催されています。ネットで検索しても発見できると思いますので、情報を集めてみてください。