一見するとアナール学派にはあまり弱点がなさそうですが、個別分散化以外に何か批判される要素はあったのでしょうか。 / アナール学派に影響を受ける国もあれば、懐疑的だった国もあるのだろうか?

例えば、ロシアの歴史家アーロン・グレーヴィチらが、「アナールに理論がないこと」を批判しています。授業でもお話ししましたように、アナールはグランド・セオリーを批判し、個別具体性の探究を重視しましたので、歴史全体を俯瞰するような枠組み、理論を見出さなかった。それは、「あえて」という意味が強いのですが、マルクス主義を再検討しつつ重視していたようなロシア、あるいは哲学的志向が強かったドイツなどでは、よく批判の対象になりました。