日本史はすべてを通して、一国史ではなく東アジア的に考えるべきなのかと感じた。逆に日本固有のものとは?

まず、「独自」や「固有」といった言葉が、自分のアイデンティファイする集団を前提にした価値付けである、という点に注意が必要です。それらをまず括弧に入れて考えれば、例えば神仏習合なども東アジア的宗教現象として理解するのが適切で、中国と日本列島とではその発現の仕方が異なる、ではその相違はどのようにして生じるのか…と、ナショナルな価値付けとは異なるところでの独自性を探究できます。「日本」という現代の国民国家の枠組みを、例えば古代の日本列島に投映してしまうのも問題があります。自分のなかにある無意識のフィルターを可能な限り相対化してゆき、考察することが大切と思います。