神仏習合について、仏>神という印象を受けました。神は苦悩する存在とされていますが、人を救うタイプの神はいないのですか?

初期神仏習合は、仏教の側による神の〈解釈〉なので、力関係において仏>神と認識されてしまうのは、仕方がありません。ただし、日本的特徴の箇所でお話ししたように、古代日本の神身離脱説は、廟神を解体する中国のそれとは異なり、神祇の再活性化へと向かいます。本当に強固なのはどちらか、きちんと考えてみる必要がありそうです。また、〈苦悩する神〉は仏教による神の再表象、位置づけなおしですので、それと併行して地域社会においても、活発な神に対する信仰があったのは確かです。典型的なのはいわゆる〈祟り神〉で、自然環境の表象ゆえに、一方では人間に恩恵を授け、一方では災害などを起こし被害をなす、両義的な存在でした。