日本イメージというのは、日本人は勤勉、真面目などという性格のことなのでしょうか。そうしたイメージは相対的なものであり、ひとりひとり性格が異なり、全体的なイメージを考えることは意味があるのでしょうか。
そうですね、いわゆる国、国民のイメージなどというものは、すべてそうです。個々に還元したときには意味をなさない場合もある。しかし、それを集合的に語ってしまうところに、問題の面白さや、同時に危険性もあるわけです。ゆえに、「そんなの人それぞれじゃん」というものであればあるほど、なぜ一般化されてしまうのかを追究する必要があります。〈日本人〉の勤勉イメージについては、実は、帝国日本の拡大と密接な関係があります。北海道や千島・カラフト、朝鮮半島や台湾、東南アジアへ領土を拡大してゆく過程で、現地の人びとを「怠惰な土人」イメージで語り、その一方で「本土人の勤勉さ」を強調するようになるのです。南国のゆるやかなイメージなどは、このときに形成されているものも多いので、注意が必要です。