今年の5月末、旧優生保護法は違憲であるが、国の賠償責任は認められない旨の判決が出ました。私個人としては納得できない判決ですが、先生はどう受け止められましたか?

優生保護法については、どこかで扱いたいなと思っています。前のシリーズでは、ハンセン病患者のクリアランスの問題、すなわち「無らい県運動」に絡めて行われた強制隔離収容と、その後の優生保護法までの流れを扱いました。今回はリプロダクションの話もしますので、その関係で言及するつもりです。でもって、さて、ぼくも当然納得できません。このところ、行政の記者会見では問題が出来しているというのに「問題ない」「適切な対応だった」、司法では違法なのに「責任は問えない」という不思議な「落としどころ」が、常套句のように氾濫しています。授業でもお話しするつもりの築地/豊洲問題では、法律が正常に機能していない現状を目の当たりにしてきました。いま日本は、ひょっとすると「崩壊途上国」になっているのかもしれない。そういう危惧を強く感じています。