アメリカ先住民の女性たちのうち、交易者の妻になった人々について、会社間の競争が激化するとお互いが彼女たちを利用するようになったとのことですが、その経緯がよく分かりませんでした。

ぼくの説明の仕方が悪いのですが、まずは、先住民女性に対する認識が多様であったこと、やはり根底にはヨーロッパ至上主義的な差別意識が存在したこと、また当時は白人と先住民との区別なく男性優位の社会であったことが前提です。女性が、男性によって道具として扱われることが、まず珍しくないのだということ。よって、先住民女性である妻が、例えば奥地へ赴く旅行や交易について有能であればあるほど、例えばライバル会社の男性たちは彼女を掠って人質にし、相手に要求を通す選択肢が生じることになる。また、なかには彼女たちに愛情を持っていない白人男性や、それが冷めてしまった人々もあり、彼らにとって、例えば借金の形にそうした「有能」な女性を売り飛ばしたり、あるいは手土産にしてライバル会社に乗り換えたりする、そういうひとつのツールになっていってしまったわけです。一方で、しっかりした夫婦の絆を獲得したり、自立した妻としての立場を認められた女性たちがいたにもかかわらず、かかる酷い情況もあったのです。