日本の毛皮獣養殖の実態で、ホッキョクギツネの色相がさまざまあるなか、銀黒狐が主要というのは、単にその数が多かったからでしょうか。

まず、近世の北方毛皮交易の段階で、クロテンと銀黒狐が最も高級な毛皮として取引されていたためです。カナダでその養殖が開始されたのも、銀黒狐が高級取引品だったからにほかなりません。日本では、プリンス・エドワード島に由来するチャールズ・ダルトンの系統の種狐を入手し、ケージ飼育を始めましたが、産業としての目的は第一に外貨獲得にあったので、自ずから海外で需要の大きい銀黒狐の養殖に帰結していったのです。